日本国内の避妊法としてはコンドームが最も一般的でしょう。
しかし、コンドームには特有のわずらわしさがありますし、使用法を間違えると妊娠の可能性だってゼロではありません。
そこで、子育てもすみ、経済的、年齢的にもう子供を作る必要がないという方におすすめできる確実な避妊法がパイプカット(精管結紮術)です。
避妊方法には様々な方法があり、男性が主に行う方法としては「コンドーム」が代表的ですが、女性が行う避妊方法にも様々な方法があります。しかし、確立は高いものの、どれも確実ではなく、女性の体に負担がかかる場合があります。また、「パイプカット」と同様に、女性の場合「卵管結紮(けっさつ)術」という不妊手術があり、確実な“不妊”方法となりますが、男性のパイプカットと比べると女性の体への負担が格段に高い手術となるため受けられる方はかなり少なくなっています。
パイプカットは、正しくは「精管結紮(けっさつ)」と言います。精子が出る管を縛って切り離すわけですが、男性ホルモンの生産される量は、手術をしても変わりません。精子が出る管と男性ホルモンが分泌される所とは直接関係はないのですから当然です。ですから、精力が落ちたり、性的能力が衰えたりすることはありません。
また、パイプカットの手術を受けると、射精しなくなると考える方もいるようですが、これも間違いです。手術前と全く同様に射精します。もちろん、射精された精液には精子は混ざっていませんが、精液の外見は手術前と全く同じです。
精液は、陰嚢で造られる精子と精嚢腺や尿道でつくられる精漿という白色のドロっとした液体が混じったものです。 パイプカットの手術とは、精子が通る管(精管)だけが切り離されるわけですから、パイプカットしたことによって射精しなくなったり、絶頂感(射精感)が失われたりする心配はありません。
パイプカットのメリットは、手術後に妊娠させる可能性が“0%”になることです。パートナーの女性を妊娠させてしまうといった心配もなくなりますのでセックスライフが充実し、快感が高まったり、精力的になったという男性もいるほどです。
そのうえ、パイプカットの手術を受けた男性のパートナーの不感症が治ったというケースすらあります。それまで、妊娠の可能性が不安感となり、快感を得ることを妨げていたのです。
これらのパイプカットのメリットに対して、やはりデメリットも考慮しなくてはなりません。
パイプカットの手術を受けたあとは、再び妊娠させることはできないと考えなければならないという点です。
元に戻す「精管再生手術」がありますが、確立は低く、精管そのものを繋ぎ合わせること自体はさほど困難ではないのですが、パイプカットの手術を受けてから年数が進むにつれ、精子そのものを作り出す能力が低下するといわれ、再度妊娠させることは難しくなります。
パイプカットの手術を受ける場合は、ご家族と十分に話し合い決めることが必要です。
陰嚢の裏を少しだけ切って中にある精子が通る管(精管)を糸でしばり切断して、確実に精子の流出を止めてしまうのがこのパイプカットという手術です。
パイプカットの手術時間は個人差はありますがおよそ30分くらいです。
局所麻酔で行われます。
陰嚢自体が感覚の鈍い場所ですので、麻酔の際もさほど痛みを感じることもなく、パイプカットの手術後も特に痛みがひどくなるようなことはありません。
もちろん、入院も不要です。
パイプカットの手術から一週間後に抜糸をしますが、抜糸まで入浴はシャワーだけにして湯船につかることは避けてください。抜糸不要の自然に溶ける糸で縫合することもできます。
手術後1週間は、セックスやマスターベーションはひかえましょう。
注意しなければならないのは、パイプカットの手術を行っても、手術後しばらくの間は精液の中に精子が残っていて(残留精子)、性行為を行うと妊娠する可能性があるということです。
この残留精子は1~2ヶ月程度生存するといわれています。
そのためこの期間中は妊娠する可能性がありますので注意が必要です。
パイプカットの手術から約1ヶ月以降に残留精子の検査がありますので、マスターベーションなどによって、残っていた精子を含む精液を排出するようにしておきまましょう。
パイプカットの手術を受けた場合は、必ず1ヵ月以降の精液検査をし、精子が出ていないこと、生存していないことを確認してからセックスを行うようにしましょう。