男性なのに胸が女性のように膨らんでいる状態を「女性化乳房」といいます。女性化乳房には胸部の脂肪が多い「偽性女性化乳房」と乳腺が肥大化した「真性女性化乳房」とがあります。
正常な男性の胸は胸筋(胸の筋肉)の上に少量の皮下脂肪があり、その上に皮膚があるだけなので膨らみがなく平坦です。
乳首・乳輪のすぐ下には男性でも乳腺組織がありますが、小さいために指でつまんでも良く分からない程度のもので、乳汁(おっぱい)を作る機能はありません。
ところが男性の胸が、まるで女性のバストのように膨れてくる場合があります。
このような症状を女性化乳房と言います。
女性化乳房には、ホンモノ(真性女性化乳房)と、ニセモノ(偽性女性化乳房)の2種類があります。
真性女性化乳房とは、本物の女性のバストと同じように乳腺が発達し、男性でも胸が膨らんだ状態でになります。
乳腺の周りには皮下脂肪も増加しています。
偽性女性化乳房とは、単に太って皮下脂肪がついた結果、男性なのに女性のように胸が膨らんでしまう症状です。
真性女性化乳房と偽性女性化乳房は、見た目は似ていますが、多くの場合問診と触診で区別ができます。
女性化乳房は、乳輪が盛りあがった程度のものからブラジャーが必要なほど大きなものまで、膨らみの程度にはかなりの個人差があります。
片側の胸だけが膨れた女性化乳房もあります。
女性化乳房自体は病気ではありませんが、男なのに胸が膨れているのは気になるものです。
患者様が女性化乳房修正手術を希望する理由として最も多いのが、海やプール、温泉などに出かけた時にコンプレックスを感じるというものです。
また体にフィットするTシャツを着たときに乳首が目立つのが気になるという方もいらっしゃいます。
乳腺のしこりが継続的、あるいは断続的に痛むという症状の方もいらっしゃいます。
男性の『乳がん』は極めて稀であり、普通の男性には縁のない病気ですが、女性化乳房によって乳腺が肥大していると、男性でも女性と同様に『乳がん』に進行するリスクがあります。