紅色肥厚症は、ボーエン病の一つとされます。
ボーエン病とは、「皮膚内ガン」という皮膚の中にがん細胞は存在しても、他の組織や器官に転移することなく、表皮の中だけにとどまっている疾患で「がん前駆症」あるいは「前がん状態」とされます。
この皮膚内ガンに、日光角化症・ボーエン病・パージェット病などがあり、 紅色肥厚症は、ボーエン病が、亀頭部や他の粘膜及び粘膜境界部に発症したものをいいます。
いわゆる、ボーエン病も他の皮膚内ガン同様に、皮膚がんの病期分類の0期と同じ状態とされます。
放置しているとがん細胞はやがて真皮の中へ入り、有棘細胞がんとなりますので、表皮内ガンのうちに治療することが大切です。
亀頭と包皮の間に蓄積された垢(あか)が炎症の原因となることから、包茎の場合に生じる事が多いとされます。
その他、HPV(ヒト乳頭腫(にゅうとうしゅ)ウイルス)、放射線や砒素などの影響により発症する場合があります。
赤みを帯びたビロードのようなめらかな限局した病変で、通常環状切開を受けていない男性(包茎)に起こります。
ボーエン病は、正常の皮膚との境界がはっきりしており、色は淡い紅色から褐色調であることが多く、表面は斑上に白色や黄白色のがさがさと乾燥してはがれ落ちやすい皮膚が付着しており、ときには一部にびらんがあったり、かさぶたがついていることもあります。紅色肥厚症はこの症状が亀頭部や粘膜、もしくは粘膜境界部に発症したものをいいます。
通常、割礼・環状切開(包茎手術など)を受けていない男性(包茎)に起こりやすいとされています。
砒素が原因の場合では、手のひら・足の裏の角化、体の色素沈着・点状白斑、爪の線状色素沈着などの皮膚症状がみられ、皮膚以外にも肝がん・肺がん・膀胱がんなどの内臓悪性腫瘍を合併します。
皮膚病変を確定する為に、皮膚生検を行います。
皮膚内ガンと診断された場合、多くはフルオロウラシルという腫瘍細胞の代謝(ピリミジン代謝)を抑制し腫瘍細胞の増加を抑える薬物が入ったクリーム剤で治療し、経過を見ながら場合によっては局所切除,またはレーザー療法を行う場合もあります。
※一般的なボーエン病を含め皮膚内ガンと診断された場合の治療の基本は切除ですが、亀頭部の場合は抗がん作用のあるクリームや軟膏で初期治療を行う場合が多いようです。